小陰唇・大陰唇
2017年03月29日
小陰唇の手術に医療用ボンド使っていいの?!
最近、小陰唇縮小手術の縫合に、糸ではなくて医療用ボンドを使用しないのはどうしてですか?と聞かれることがあります。
初めて聞かれたときは、小陰唇にボンド使うところがあるの
と驚いたのですが、本当に使っているクリニックはあるみたいですね
確かに、ボンドを使えば時間も手間ももかなり短縮できます。
それでも私はボンドを使いません。
なぜなら
①縫合したほうが傷跡がきれいだから。
②ボンドを使用するリスクが高すぎるから。
医療用ボンドとは、そもそも小児の治療に使用されるものです。
お子さんがけがをして切り傷を縫合しなければいけない時、
小さい子供さんだと暴れてしまって、なかなかうまく縫合することができません。
ボンドだと麻酔もいらず、時間もかからないのでとても便利なのです。
ただ、傷あとに関して言えば、時間をかけて丁寧に縫合したほうが断然きれいになります。
なぜなら、皮膚と皮膚を合わせるときにできるわずかな段差は、糸で細かく調整しながらでないと修正できないからです。
傷跡をきれいにするプロである形成外科では、医療用ボンドは絶対に使いません
また、医療用ボンドの使用禁止・注意事項の中に、
「粘膜表面および粘膜皮膚境界部に使用しないこと」
「ボンドの浸透性については研究されていない(塗布したものがどれくらい吸収されるかわからない)」
「外唇部の傷への適用性と安全性については確認されていない(小陰唇、大陰唇の傷に使って安全かどうかは確認していない)」
と明確に表記されています。
粘膜とは、吸収や分泌の機能を持つ部分です。
小陰唇の内側や膣だけでなく、口の中や瞼の裏などがそうですね。
つまり粘膜は、付着した成分を吸収しやすいのです。
腕の皮膚の吸収率を1とすると、デリケートゾーンの吸収率はなんと42
しかも経口摂取と違って皮膚や粘膜から吸収された成分は、ほとんど体外に排出されません。
では、医療用ボンドの成分はというと、
主成分は、シアノアクリレートという、瞬間接着剤のアロンアルファと同じ成分です。
アロンアルファとそっくり同じではないようですが、化学物質であることには変わりありません。
ボンドの注意事項の中に、「浸透性については研究されていない」と明記されていることから考えると、
このボンドを手の切り傷ならまだしも、傷口がパックリ開いたしかもほぼ粘膜である小陰唇にべったり塗るというのは、
私にはこわくてできません
さらにアレルギー体質の方は、ボンドでかぶれてしまって
色素沈着で黒ずんでしまう可能性もあります。
医療用ボンドは、シャワーで軽く濡れる程度なら1週間程度はがれずにもちますが、
デリケートゾーンは一日数回トイレに行って、その度に尿やウォシュレットなどで濡れてしまうので、
3,4日ではがれてしまうことが多いようです。
傷が閉じるのは、縫合方法によりますがしっかり中縫いをしても最低6、7日は必要です。
そのため、3,4日では傷口が開いてしまう可能性が高いのです
ボンドのほうが傷跡がきれい、と言うドクターがいれば、
糸で縫うのが下手なのだと思ってください。
おいしいご飯で例えると、
土鍋で炊くより炊飯器のほうが上手にできるから、炊飯器のほうがいいよって言ってるようなものです。
でも上手に炊いたら、土鍋のほうが美味しいですよね。
まあ、炊飯器のご飯はボンドと違って安全ですけど
こういったいろいろな理由で、私は医療用ボンドは使いません。
ただの頑固な職人気質から、使ってないのではありませんから
その分、縫合に時間はかかりますけど、
結果は保証しますのでぜひご相談にいらしてください
小陰唇縮小手術の詳細はこちらです。